スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

エルフ耳メイド

天に星
地に花
人に愛
そして貴様はメイド萌え!めいど
スポンサーサイト

テーマ : 今日のイラスト
ジャンル : 日記

ギャラリーss(aoha)

君の知らない物語(化け物語)

あるいはこんな異世界で(オリジナル)

駄文連載開始なんだぜ!

こんばんわ、aohaです。
先日掲載していただいた化物語二次創作「君の知らない物語」はお楽しみいただけたでしょうか。
つか、分かる人がどれだけ居るのか、というのはさておいて。

おもむろに新始めました。
またこちらからリンクの誘導をさせていただきますね。

今度はオリジナルで、異世界召喚モノです。
連載させていただいている「小説家になろう!」様では結構メジャーなジャンルですね。
タイトルは「あるいはこんな異世界で」です。別窓で開きます。

拙い文章ですが、暇つぶしにどうぞ。
それではー

化物語 SS 幸物語

こばわ。aohaです。
おもむろに書いた。ただ、それだけなんだ・・・




「ねえ、阿良々木くん。私と付き合ってもらえないかな」

 羽川は割かし真剣な顔でそういった。かといって、いつもの真面目顔ではない。少しだけ頬を赤らめて。うわ。超可愛い。
 でも、それはあまりに突然、、突拍子のないことで八九寺が目を見開いて硬直してしまっている。そういう意味では表情なんかを観察して悦に入っている僕なんかは意外と余裕があったりするのかもしれない。

「えーっと、買い物かなにか?」

「ううん。これは―――私からの告白だよ」

 羽川翼はトレードマークの三つ編みを揺らしながら、そうのたまった。
 心なしか、彼女には焦りが見える。日常を完璧に演出し、演じられる(傍点)彼女が、僕にでも察せられるような弱みを見せている。

「何か、あったのか?」

 何か。それがどうしようもなく不安になる。何もかもが想像とか憶測でしかなく漠然としたものでしかない、それがたまらなく不安だった。

「ううん。阿良々木くんが心配するようなことは、なにもないよ」

 じゃあ、どうしてそんなに不安そうなんだ。なにを、焦っているんだ?

「怖いの」

 唇を引き結んで、羽川は言う。怪異が、ではない。戦場ヶ原を恐れているのだと。

「怖い――って…」

 羽川は戦場ヶ原に対しては友好的、かどうかはともかくとして好意的だったはずだ。確かに、彼女のリアクションは一般人の許容できる範囲からは大きく逸脱しているだろうが、それに臆するような羽川ではない。

「戦場ヶ原さんに、阿良々木くんをとられるのが―――怖い」

「は?」

「阿良々木くんが悪いんだよ。誰にでも優しくするから。命懸けで、優しくするから…悪いんだよ」

「…………」

「私は、そんな阿良々木くんだから好きになったんだけど…―――だからこそ、怖いよ」

「私は阿良々木くんの特別じゃない。戦場ヶ原さんも、特別じゃない。
 でもね、阿良々木くん。私たち、ううん。私にとって阿良々木くんは特別なんだよ?きっと、戦場ヶ原さんも、そう」

 羽川の言っていることは、必ずしも正しくない。僕にとって羽川は特別だし、戦場ヶ原も特別だ。いや、ある意味、みんな特別だ。羽川は羽川で、戦場ヶ原は戦場ヶ原で、八九寺は八九寺で、忍野は忍野で、忍は忍。みんな、それぞれに特別。僕の交友関係は、カテゴライズするほど広くはないし、多くもない。
 でも、そういうことではないのだろう。羽川が言いたいのは、多分そういうことじゃない。

「だから、ねえ、阿良々木くん。私と、つきあってください」

「私を―――阿良々木くんの特別にしてください」

 僕は、羽川の言葉を現実として受け止められないでいる。ついていけないで、いる。
 羽川は言った。告白だと。
 羽川は言った。怖いのだと。
 羽川は言った。戦場ヶ原ひたぎに、僕をとられたくないのだと。

「…………っ!!」

 なんて顔をしているんだ! 今にも泣きそうな? いやいや、困ったような……。いろいろな感情がないまぜになったそんな表情。
 今までに、見せたことのない表情。
 いつもの笑顔で言ってくれたのなら、いくらでも冗談を返して上げられるのに。いつもの超然とした羽川の姿は、そこにはない。普通の、女の子と何も変わらない、自信のなさげな不安に満ちた瞳で……僕を見ている。
 いつもとは正反対の羽川。それがたまらなく可愛い。普段から隙のない羽川が、とても脆く儚げだ。
 やばい。
 すごいやばい。
 抱きしめてえ!
 抱きしめて、耳元で大丈夫だと囁いてやりたい!!
 人が本来的に持ち合わせている庇護欲をビンビンに刺激してやまないのが今の羽川だ。
 しかし、しかしだ待つんだ阿良々木暦!嬉しい気持ちはよく分かるが自重しろ!

「私は―――ズルい女。私が今、何考えてるかわかるかな?」

「どうやって阿良々木くんの逃げ道を塞ごうか。どうやって阿良々木くんの気を惹こうか。そんなことばかり考えてる」

「今、こんなことを阿良々木くんに話してるのだって、少しでも私を見てほしいからかもね」

 どっちだと思う?なんて、羽川は笑う。泣き笑いのような表情…きっと、どんな顔をしていいのか分からないのかもしれない。

「でも、でもね―――」

「……私は、私にはなにもないけど―――私、羽川翼は、阿良々木暦くんが大好きです」

「私の―――特別になってください」

 ついに、涙が零れ落ちる。羽川の涙。
 不謹慎なことではあるが、僕はその涙をとても美しいと思った。今まで、見てきたどんな笑顔よりも、眩しくて美しい。
 言葉を口にするのが精一杯で、表情にまで気を遣れていないのだろう。だからこの泣き笑いの笑顔は、僕が知っているどの笑顔よりも、心の裡を表しているのだと思う。壊れかけた、儚い美しさ。

「羽川っ!」

 僕はもう、自制などかなぐり捨てて羽川を抱きしめていた。
 限界一杯、ギリギリのところで踏みとどまっている。暴発寸前、そんな印象を受けた。

「僕は、僕はっ」

 僕は、間違いなく羽川が好きだ。錯覚でも倒錯でもない。厳然たる事実として羽川が好きだ。
 心のベクトルは限りなく好意に向いていて、メーターなんかとっくに振り切っていて計測不能だ。羽川が死ねというのならば、一瞬の躊躇いもなく死ぬだろう。彼女がそんなことを言うことはありえないにしても、僕はそのくらいの覚悟は決めている。
 でも、その感情は春休みの体験が生み出したものだ。
 春休み、僕が朽ち果てようとしているところを羽川に救われた。そのとき、彼女がいなければ僕はもうここにはいない。それだけじゃない、どれほど彼女に救われたことか。だから、僕の羽川に対する好意は何があっても揺らぐことはない。
 しかし、この場合は違う。根本から、違う。
 僕が羽川に抱いている好意と、羽川が僕に抱いている好意は、違う。どれほど僕が羽川を好きであっても、その一番深いところに根ざすのは春休みの出来事で…それを羽川の「好き」に応えるのはあまりにも不誠実に思えるのだ。

「それでも、いいよ」

「今は、それでもいい」

「明日があれば、明日の分好きになってもらえる」

「明後日があれば、また明後日の分好きになってもらえる」

「阿良々木くんは優しいから、きっと誰かを振ることなんてできないと思うんだよね」

「後からいくら頑張っても、勝てないから。今、勇気を出して言いました」

「今はどう思っていても、私を好きでいてくれるのなら、それでいいの」

「恋人でいてくれるのなら、未来はずっと繋がっているから」

 ね。なんて彼女は笑う。屈託なく、笑う。

 それはおよそ僕の想像するところの告白のイメージとはずいぶんと異なる。恋人同士、というのは相思相愛が大前提じゃなかったのか。なんて、そんな気分。そんな状況。
 それでも、今。僕の腕の中にいる少女が、全てを理解して、全てを受け入れた上で、最大の勇気を振り絞って、気持ちを伝えてくれている。
 どんな形でもいい、私を好きでいてくれるのなら、恋人になって欲しい。そいしてくれれば、あとは私が惚れさせてみせる、と。
 ははっ。自信があるのかないのか。ある意味、羽川らしいかもしれない。僕の考えを読みきった、その上での告白。そんな印象を受ける。
 もしかしたら、さっきの表情も涙も、全てが計算された演技なのかもしれない。そう、見せかけるため(傍点)の演技。
 もしそうなら、最初から僕には勝ち目なんてない。なにが勝ちで、なにが負けかなんてわからないけれど。
 逃げ道なんてどこにもない。逃げるつもりも、またないのだけど。
 演技かもしれない? だからどうした。羽川が僕を好きだと言ってくれているんだ、それだけで十分だ。たった、それだけで僕は天にも昇る思いなのだから。

「羽川」

「うん」

「そこまで言われて、断れるヤツは男じゃないぞ」

「うん……」

「……どうぞ、よろしくお付き合いください」

 好きだ、とは言わない。言っても嘘にはならないけど、それでは僕が納得いかない。今の好きは『Like』や『Dear』の類であって、『Love』ではない。だから、今は言わない。でも、そう遠くない未来に言うことになる確信はある。

「ありがと。どうか、よろしくおねがいします。暦くん」

「へあっ!?」

「? どうしたの、暦くん」

「ほあっ!?」

「暦くん?」

「ほあちゃー!?」

「暦くんって、時々おもしろくなるよね」

 さっきまでのいいムードぶち壊し!
 羽川はくすくす笑ってるけど、僕はそんな彼女を腕の中に収めたままで奇声を発している。明らかに、紛うことなき変人だ。ていうか羽川さん。二回目あたりから、わかってやってやがりますね?

「うん」

あっさり認めやがった!

「変かな? 名前で呼んじゃ、いけないかな」

「うぐっ」

 正直なところ、僕は名前で呼ばれるのに慣れていない。暦と呼ぶのは両親と、我が妹たちくらいのものだ。なによりも僕には壊滅的に友達がいない、意図的に友達を作ろうとしてこなかった僕は絶対的に経験が足りていないといえる。別に、暦という名前の響きが女っぽいからとかそういう理由でないことを殊更に強調しておく。
 それはともかくとして。僕も変わるべきなのだろう。いや、もうすでに羽川に出合って僕は劇的とも言えるほどの変化をしたわけなのだけれども。それでも、まだ、変わるべきなのだろう。おかげで僕の人間強度は春休みからこっち、垂直降下にも近い低下っぷりを見せている。僕の予想ではこれからも益々脆弱に、虚弱になっていくことだろう!
 でも、それを嘆かわしいとか、もう一度人間強度を上げようとか、そんなことはもう思わなくなった。それどころか、人間強度なんてつまらない考え方をするのを止めた、というべきか。
 鎖国から開国へ。
 僕にとっての黒船、羽川翼によって阿良々木暦は開国した。とてつもなく強圧的で友好的な手段で。
 傷つけることを覚悟し、傷つけられる覚悟をした。全てを受け入れて、受け止める羽川の強さには遠く及ばないが、それでも共に歩く第一歩になれば……と思う。
 強引にも、僕の内側に踏み込んできてくれた彼女に歩み寄るための――第一歩。

「……羽川」

「なに? 暦くん」

「…っ! か、肩を――肩を揉ませてもらえないだろうか」

 勇気を出すためのおまじない。――同時にチキンの証明でもあるのだけど…なんというか、けじめと言うか、そう。儀式めいたものだ。

「―――胸、じゃなくていいの?」

 恋人同士なら、おかしいことではない。でも、これは恋人としての阿良々木暦を始めるための儀式。だから、肩じゃないといけない。ちょっとイタズラっぽい微笑で誘う羽川の言葉にM8.0級のぐらつきを覚えるけれど、ここは男として負けるわけにはいかない。

「肩でお願いします」

 思わず丁寧語。情けない!

「そ」

 じゃあ、と言って背を向ける…といっても羽川はまだ僕の腕の中なのだけれども。
 いや、なんというか、やばい。
 自分で「肩」と言ったくせに、抑え切れないほどの劣情に苛まれる。
 なんだ、この新手の拷問。一時の至福と、羽川の信頼。どちらを取るべきか、考えるまでもないくらい明白なのに、精神を揺さぶる激情、突き上げてくる衝動に僕は翻弄されている。嵐の大海に漂う小船のごとく!

「恥ずかしいナレーションはいいから、早くして」

 好きに、して。うなじまで真っ赤にして、俯いてしまう羽川。
 なんだ、この女。
 どうして、こうも僕に対してクリティカルなレアクションばかりをしやがるのか!
 だめだ。
 これ以上は、僕がおかしくなる(傍点)。
 震える手で羽川の肩に手を置いて、薄い肩を掴む。一呼吸おいて、おっと揉みはじめる。といっても大した手ごたえがあるわけでもない。そうしながら、僕は心を落ちつける。肩を揉んでいる間は、破廉恥な、信頼を失うような行為に及ぶ心配はない。…別に、妄想で脳内置換しているわけじゃないからなっ!

「チキン」

 ぽそり。
 羽川が言った。あの切羽詰った春休みとは違う。緊迫感はある意味近しいものがあるけどな。
 でも、あのときほど追い詰められたわけでも、逃避行為としてでもない。
 でもでも。もしかしたら、もしかしたらだけど。
 あの時、羽川は期待してくれていたのかもしれない。
 全く僕に都合のいいだけの妄想だけど。
 もしそうだとしたら。
 この呟きは。
 どこまでも公正で明大。残酷なまでに平等で優しい羽川の、全く飾らない本音なのかもしれない。
 いや、まあ。しかし。
 そう言われても仕方ないと言える。僕にはまだそこまでの勇気はない。
 でも、待ってもらおう。僕が羽川に恩がどうとか、考えられなくなるくらい、理屈ぬきで、感情だけで思い切りぶち当たれるようになるまで。
 それくらい、好きになるまで。
 そんな自分勝手な想いの謝罪も込めて、念入りに、丁寧に肩を揉み解していく。

「んっ」

 一箇所だけではなく、肩周りの筋肉に沿ってスライドさせながら、丁寧に丁寧に。

「んんっ…」

 横スライドだけではなく、縦にも、マッサージの範囲を広げて、揉みこんでいく。
 指だけではなく、手のひら全体を使って。

「あぅ…ん」

 実は、ここだけの話。両親を相手に肩揉みの練習をひそかに重ねていたのだ。あの春休み明けの運命が変わった(僕主観)日に。次は必ず気持ちよくさせててやる、と言ったあの日から。
 その日々たるや過酷、壮絶の一言に尽きる。両親からは気味悪がられ、勘繰られ。妹たちには余計な詮索と詰問を受ける始末。しかし、思い返してみれば日頃から忙しく働いている両親と話す機会にもなり、肩揉みの腕前も上がり(両親は変なところで好みに煩い)、喜ばれもしたのだからそう悪くなかったかもしれない。プラスマイナスゼロ、といったところだ。
 そして今。その成果が発揮されている。

「ん゛~」

 蕩れ羽川。
 春休みの時には全然凝ってなんかいないじゃないか、と思ったものだけれど、今はそうでないことがわかる。
 普段から姿勢を正しく保ち、運動をし、食事ののバランスに気を遣って、たっぷりと休息を取っていたとしても、身体のどこかには負荷が蓄積するものだ。それこそ、僕のような身体でもない限りは。
 柔らかいな、とかそんな感触の中に確かに存在している凝りを、今の僕には解してやることが出来るのだ!こんなに嬉しいことはない!

「…ッ! 暦くん」

 ああ、これぞ至福のとき。僕の天職はまさに羽川専属のマッサージ師に他あるまい。

「暦くんっ!」

 がしっ、と。
 手首を掴まれてはっとする。
 そしてそのまま。手を、引かれる。
 羽川の背中に抱きつくような形で、女性らしい柔らかな身体に密着する。驚きの声を上げる暇もなく、強く引き寄せられて。

「は、羽川?」

「暦くん」

 羽川の声がすぐ耳元でする。
 

「は、はひっ!」

 っ! 噛んだ。噛んじまった!
 手を掴む羽川の力が俄かに強くなり、より強く羽川に密着する。
 うわ、うわ、うわ!
 やばいやばいやばい!!
 胸元に感じる羽川の背中とか、腰周りに感じる羽川のお尻とか?!
 
「あんまし気持ちよくすると、襲っちゃうかもしれないから、気をつけてね」

 聞き覚えのある、妙に優しい猫なで声。
 瞬間。
 春休みの恐怖がフラッシュバックし、心底肝が冷える。
 浮ついた思考なんて一瞬で消し飛び、記憶から抹消されるほどの衝撃。
 羽川の肩越しに、視線だけで見たその横顔はまぶしい限りの笑顔だったのだけれど。
 眼が、笑っていなかった。
 光の反射の具合か、はたまたホンモノか。
 金色の瞳に、縦に長い瞳孔をもつ、肉食獣の瞳。
 猫の瞳だった。狩猟者の、眼。
 夢とも現とも判別がつかない。でも、なんというか―――美しいと感じた。
 多分、この美しさは戦場ヶ原と通じる。羽川をして、儚げで美しいと言わしめた、その美しさと。
 そして、二度と真名を呼ぶことのない金色の美しき吸血鬼。その、美しさと。
 この世と、隔絶した美しさ。
 隔絶(傍点)か。
 もしかしたら、羽川は他人というものを基本的に信じていないのかもしれない(傍点)。羽川が信じているのは、個人のパーソナリティや能力ではなく、各人の個性と状況から導かれる行動の予想・予測でしかない。絶対の自信―――自分以外に頼るものはない、と信じているのかもしれない(傍点)。
 自分とそれ以外の人間(傍点)、その他大勢に区別はない―――ハートアンダブレードに僕と羽川の区別がつかなかったように(傍点)。
 戦場ヶ原に、敵か無関心な空気であるかの二通りしかなかったように(傍点)。
 羽川の瞳にはそう思わせる何かがあった。こんな距離にいながら、僕は映っていない。
 人間不信。根本的なところで羽川は人間不信なのかもしれない(傍点)。そして、そうと気付かせない―――自分も気付かない(傍点)。

「………っ!!」

 寒気がした。
 羽川に、ではない。
 そんな風に考えてしまった、自分自身に。
 酷く醜い。

「暦くん?」

「ごめん、羽川。今、僕は酷いことを考えた」

「そ」

 下着でも覗き込もうとしたのかな? なんて茶化して笑う。分かっていながら気付かない振りをしてくれる。そんな、優しい奴なんだ。

「翼」

 びくり、と羽川の身体が震えた。
 しまった。あまりに突然だったか?
 いや、でも羽川も名前で呼んでいるし。それに僕たちはもう恋人同士。そして僕は羽川翼の恋人なのだから。

「だね。私たちは、恋人同士だもんね」

 はにかむように笑って。照れくさそうに、笑って。

「でも、こういう場所(ルビ:公園)で、いつまでも抱きつかれてるっていうのは問題だと思うなあ」

「あ、元々は私がやったんだよね。反省反省」

「名残り惜しいなあ」

 いや、これは心から。マジで惜しい。
 僕という存在はこののときのために――の第二弾である。

「うん。暦くん、あったかい………いや、でもホント。恥ずかしいから」

 未練がましいが、惜しい。実に惜しい。
 けど、僕たちは恋人同士だ。きっと、次もあるだろう。
 そう自分を慰めて腕の拘束を解き、身を離す。

「ふう。危ない危ない。ちょっと、いい雰囲気だったね」

「そうだな」

 そういって、二人ではにかみ笑い。羽川の顔は心なし赤く、僕は火山でも噴火したような真っ赤な顔をしているだろう。
 そりゃあ、当然というかなんというか。察して欲しいところだ。
 いい匂いだったな、とか。
 柔らかかったな、とか。
 …なんだか邪な想像をするには十分過ぎるほどの『羽川』を知ってしまった。パンツも衝撃的だったが、これはこれで強烈だ。これから、いろいろ大変になりそうだ。

「阿良々木くん。いやらしい顔してる」

「は? 見間違いじゃないのか。ジェントルメンたるこの僕がそのような邪な想像をするとでも?」

「阿良々木くん。口で言う割りに、行動が伴ってないみたいだけど。特に手が」

 わきわき。
 羽川の忠告の声が酷く冷たい。視線は氷点下。呼称も元に戻ってる!?好感度が下がっているというの!?
 これは由々しき問題だ。告白を受けてから一時間もたたないうちに振られるなんて喜劇としては笑えてもリアルとしては笑い話にもならない!ましてや当事者は僕だ!

「あっはー。やっぱり阿良々木くんはおもしろいねー」

 一転、いつも通りの笑顔。

「阿良々木くん、阿良々木くん」

 呼びかけではない、ただ呟くだけ。

「阿良々木くん、阿良々木くん」

 笑顔笑顔。なにが楽しいのか。名字を連呼されている僕としては羞恥プレイでしかないのだけど、それを言う勇気もなく曖昧な微笑を返すだけ。

「阿良々木くん、阿良々木くん」

 いかにも幸せそうな、眩しい笑顔がなければ僕はもうとっくに鋭いツッコミをいれているところだ。

「阿良々木――暦くん」

 にへら、と。笑顔というにはあまりに締まりのない、ふにゃけた顔。いうなれば、蕩れ顔。
 やべえ、鼻血出そう。

「やっぱり駄目だね。阿良々木くんを名前で呼ぶのは、ちょっと難しいや」

 うにうにと、自分の顔を揉み解しながら、表情を元に戻す。…でも、なんだかまだちょっとにやけている。
 もしかして、ずっと我慢してたのかもしれない。全くそれとは気付かせない羽川の精神力には全く恐れ入る。

「翼さん、僕からもお願いだ。何かいろいろと暴発しそうだから、しばらくは名字で…――って、翼さん?」

 硬直。
 いつも余裕を感じさせる羽川が見事に硬直している。表情も姿勢もそのままに、時が止まったように。

「おーい、翼さん?」

 眼を覗き込むようにして、顔を近づける。
 目の前で手を振ってみても無反応。
 まさか、名前を呼ばれるのもアウトですか、翼さん。

「あがっ!?」

 ほんの一瞬。鋭敏化した神経でも知覚できない速度で――あるいは隙を突いて、羽川の両手が僕の頭をホールドする。

「ごめん、阿良々木くん。この約束は相互協定にしよう?」

「甚だ理不尽で不公平っぽい日米和親条約だけど、阿良々木くんは紳士だから分かってくれるよね?」

 普段の羽川ではない。いつもは、どんな状況であれ、こんなことはしない。それくらい、切羽詰っている。ありえないくらい、取り乱している。春休みの下着のことなんかより、ずっと。

「お、おうとも? もちろんだとも。一も二もなく同意するとも。さすが羽川、なんでも知ってるな?」

 とんでもない砲艦外交。この上なく脅迫で締結された条約だ。

「でんでもは知らないわよ。知っていることだけ」

 知っていたら、こんなことにはなってないと思うな。と苦笑い。

「確かに、その通りだな」

 ああ。全くもってその通りだ。
 僕は笑う。まさか、羽川から戦場ヶ原のような扱いを受けるとは。

「全く、可愛いなあ!」

 僕たちは、シュールな格好のままで。
 笑った。
 一緒に、笑った。
 


吉里さんで再現予定で微妙に補足が入ってるけど気のせいです(笑)

更新したよっ!

こばわー、aohaでーす!

ついさきほど、短編小説とは名ばかりの詩のようなモノ「人間、やめますか?」をアップしてきました。
今回はそれなりに一貫性の在る・・・ような気がするものが書けたと思います。ああ、タイトルは物騒ですが、そんなに危ない表現なんかも全くないのでご安心くださいませ(笑)
タイトルに掲載ページへの直接リンクを張ってありますので、気分次第でご覧ください。ブログにもどるときはブラウザの「戻る」ボタンでどーぞ(笑)

以上、更新のお知らせでした!

追伸:・・・・・・これだけしか書いてないってのも意外と寂しいものだなぁ(笑)

プロフィール

みたらし堂

Author:みたらし堂
ここは同人サークルみたらし堂のブログですぞ!

新興宗教ロリータ教「教主ハルカ」がイラストを

aoha君がSSを載せていますぞ!

落書き置き場とピクシブ、SS保管庫は地味に更新されてるよ!

尚、このブログはノンジャンルかつフリーダムです。不真面目な内容の活動を含みますことをご理解の上ご閲覧くださるようお願いします。

カウンター
最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
pixiv
halca
リンク
おともだち
<昭和セリヌンティウス>

    お世話になってるサイト様


        バナー(リンクフリーです)
      • 管理画面
      • このブログをリンクに追加する
        上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。